ブログ更新はさっぱりですが、細々とトレランは継続しています。
先日、2023年1月28-29日に奈良県明日香村で開催された石舞台100というレースに参加してきました!
あまり大きな大会ではないですが、個人的には初めてDNFを経験した因縁のある大会。
今回はその借りを返すつもりでレースに挑みました。
先に言ってしまいますが、今回は大会直前に大寒波が直撃して極寒の雪山トレイルレースとなりました。
元々ハードなレースがさらに過酷に・・・それでも何とか完走だけを考えながら走り続けて、無事ゴールに辿り着くことができました!!
今回は、関西の片田舎の超ドSな大会についてのレポートです。
大会の紹介
概要
石舞台100はその名の通り、奈良県明日香村の石舞台古墳を起点に行われる周回レースです。
2022年に第1回が開催され、2023年の今年は2回目の開催となります。
1周は33km D±2400mのコースで比較的アップダウンが激しいコースプロファイル。コース全体では音羽山・竜門岳の登りと下り区間がポイントになってきます。
1,2,3周の部 と 4周の部(チャレンジの部)の全部で4つのカテゴリで開催され、私は3周の100kmの部に参加です。
ちなみに100kmの部は、土曜日の12時スタート→日曜日の13時終了となるので、関東など遠方の方でも前後泊することなく参加することができるのはGoodポイントだと思います。(実際、関東からの参加者が結構いました)
距離 | 累積標高 | 制限時間 | |
1周の部 | 33km | ±2400m | 8時間30分 |
2周の部 | 66km | ±4800m | 17時間30分 |
3周の部 | 100km | ±7200m | 25時間 |
チャレンジの部 | 133km | ±9600m | 26時間 |
前衛的な主催者
主催者は京都のトレイルフェストランニングカンパニー
関東の人は馴染みがないかもしれませんが、関西で多数のレースや練習会を開催しています。
代表の田口穣さんも超ロングのトレイルランナーで思考が非常に前衛的。
いろんな方の挑戦を応援したい!という思いを持っていることもあり、ファンラン的なイベント頻度はそこまで高くありません。
レースはハード系が多く、今回の石舞台100も漏れなくハードです(笑
参加を決めた理由
冒頭にも記載していますが、昨年の第1回大会の100km部門に参加して人生で初めてのDNF
しかも、関門アウトではなく3周目の途中で心が折れて、自己申告での棄権。
この悔しさを引きずったままではこれからのトレラン人生を謳歌することはできない?と思いリベンジを誓って今回の大会を迎えました。
2022年はリベンジに向けて地力を鍛えた1年だったと言っても過言ではありません(おおげさ?)
大会までの準備
胃腸対策
前回DNFした時は、2周目の途中で胃腸トラブルに見舞われて、食べ飲みすることができず。
3周目に入っても回復する兆しはなく、メンタルも下がっていき結局途中でDNFという流れでした。
当時はロングレース経験もなく、胃腸トラブル未経験
ジェルもガンガン食べて、エイドでお餅を食べて、登り下りも走ってと、今思えば胃腸トラブルに対して丸腰で挑んでいたなぁーと。
色々と検討した結果、今回の大会ではジェルはなし。固形食を中心にしました。
- パワーバーのグミ(エナジージェル ショッツ)
- 柏原の塩羊羹
- ANDO
- バランスパワー クッキー
- エイド食(ヌードル、ぜんざい、バナナ、お茶漬け・・・)
エナジージェルショッツ(グミ)と飲める羊羹のANDOはレースでは最近必携になりつつあります。
タイムチャート作成
去年の失敗の一つに周りに合わせて飛ばしすぎてしまったことがあるので、今回はタイムチャートを作成して飛ばしすぎないようにレースに挑みました。
1周33kmの間にエイドが3つ(15,27,33km)
ポイントとなるのは音羽山(10km)、竜門岳(19km)
ここら辺をチェックポイントにして本番の想定タイムを決定
大会前に2回試走に行けたので結構信頼度の高いタイムチャートになったと自負しています(笑
2周目は1周目の1.2倍、3周目は1.3倍というチャートになってます。ゴール目標は24時間以内です。
本番
10年に1度の寒波襲来
レースのある1月28-29日の週。まさかの大寒波襲来(笑
現地の情報がないか色々調べていると、Twitterで見つけました。完全に雪国やん。
スノートレイルなんてほぼ未経験だけれど、積雪仕様のために登山用のモンベルのゲイターとストックを急遽パッキング。ストックは使わない予定だったけど、積雪の中だとバランス取るのにあった方が有利だと考えました。
ちなみにチェーンスパイクは元々必携品に入っていたので、スパイクを装着して走ることになりそうです
スタート前
スタート地点の石舞台は特に積雪なし。テントを設営して、荷物整理を行いスタートまでだらだらぬくぬくと過ごします。
主催者によると山区間には30cmほどの積雪があるとのこと。
雪山でのロングレースとなるため、山で動けなくなるとリスクが高い。
ということで、参加者が無理して次の周回に進まないように、部門に関係なく完走した周回数を完走距離として扱う、という特例措置が発表されました。
例えば、100km(3周)で申し込んでいても、2周で終了となった場合、2周の完走者として扱ってくれるような感じです(ITRAポイントも2周完走のような感じ)。
普通の大会なら中止するんですけどねーと主催者の田口さん。さすがです。
雪山はどんな状況なんだろう・・・と思いを馳せながら12時にスタートしました。
コースコンディション
スタートして山に入ると早速積雪
標高が600mを越えるとがっつり雪面、それ以下の山区間は雪や泥が入り混じったようなサーフェスでした。レースに夢中で写真がないのでTwitterで拾ったものを貼り付け
トレランというより雪山登山です。
下りが滑るんじゃないかと心配したけれど、チェーンスパイクを装着しているのでつるつる滑ることはない。むしろ、地面の凹凸が完全に隠れていたので、下りが苦手な私にとっては普段よりも下りやすかった気がします。2,3周目は気温も下がって、地面が締まってきたので1周目よりもスパイクの効きは良くなる傾向でした。
結局1周33kmのうち、音羽山観音寺〜高取山の登り途中まで(大体8~25kmの区間)は、チェーンスパイクを付けっ放しで行動しました。
途中でロード区間もありましたが、距離も短いし外すのが面倒だったので雪が溜まっているところを選びながらそのまま進みました。
ちなみにチェーンスパイクはブラックダイヤモンドのアクセススパイク。こういう安全に直結するギアは信頼できるメーカーが一番です。
レース本番
1周目
『とりあえず飛ばさない』 ということだけを唱えながら走っていました。周りの人に先行されることも多かったですがひたすら自分に言い聞かせます。
音羽山の登り途中からチェーンスパイクを装着。1周目は日中で雪が緩く、先行者が雪を耕しているのもあって滑ることはないが、思っていたよりもスパイクは効かず、下りは滑りながら降りていく感じでした。
音羽山や竜門岳など標高900m付近でもそこまで寒さは感じず。2周目以降もウェアリングに注意して動き続けてればなんとかなりそうだという感覚を持ちました。
1周目は6時間30分で終了で予定よりも10分ほど早かったけれどまだまだ元気。
これから寒くなってくるので、 MontaneのパワーグリッドをPatagoniaのキャプリーンサーマルウェイトにチェンジ。
デポバッグに入れていたメガシャキを飲んで気合を入れ直して2周目に向かいました。
2周目
2周目に入ると前後にめっきり人がいなくなって、1人で黙々と走る機会が増えました。ただ他の人がいるとペースが乱されることもあるので実は1人の方が気楽。
夜間は気温も下がって、談山神社の下りのロードは凍っていた箇所もあったのでシューズのままおっかなびっくり進んでいきました。
2回目の音羽山の登りではスパイクを装着して、いざと思ったらチェーンが外れるトラブル。鎖がちぎれたかと思ったけれど、よく見ると接続部のリングが外れているだけ。5分くらい格闘してなんとかリングを装着し復旧。危うくレース継続できなくなるところだったのでホッと胸を撫で下ろします。雪のないロードでガチガチ使ったのが良くなかったかな・・
夜間になるとコース上は氷点下。 雪は締まってサクサク。1周目は滑り台だったのが2周目以降はアイゼンがしっかり効くのでストレスなく降れます。
大きなトラブルもなく淡々と走って(歩いて)行きますが足取りはどんどん重くなり、細かなアップダウンを繰り返す竜在峠から芋峠までがハードな時間帯。
それでも2周目は7時間30分で1周目からプラス1時間で何とか終えることができました。
予定よりも良いペース。
メンタル的にもまだまだ元気。
眠気も全くない。
それでも胃腸の調子は下り傾向でしたが、お茶漬けを何とかかき込んで、極寒の3周目に向かいます。
この時、時刻は夜中の3時前でした。
3周目
『頂上は気温-5度、風速10mで体感温度は-15度。行くかどうかは任せるけど、助けに行けないから覚悟して行ってね』 主催者の田口さんから3周目突入前の注意喚起。
それでも3周目に行くのに全く迷いはない。
今年は鋼のメンタルで臨んでいるので、心も体も余裕を持って3周目に突入しました。極寒の音羽山でしたが、これまでのウェアにレインを1枚重ねるだけで過剰な寒さは感じずやり過ごすことができました。
音羽山の奥にある経ヶ塚山の山頂には極寒の真夜中にも関わらず、スタッフが待っていてくれて本当に嬉しかった。しかも、ダイトレや広島湾岸トレイルで何度か声を交わした方。エールを受け取り完走への決意はますます固まります。
宮奥ダムのエイドでは食欲がなかったけれどラーメンを食べ、ミルクココアを2杯飲み込んでリスタート。この頃には日が上り始め長く寒い夜とはお別れです。
竜門岳の登り/下りは順調にこなし、今大会の鬼門となっている竜在峠〜芋峠までのアップダウン区間では先行者が2名いたので、視界に入る範囲でひたすらついていきます。結局彼らがペーサーみたいになってくれたおかげで垂れることなく走り切ることができました。
芋峠エイドでは感謝を告げてゴールへのウイニングラン。24時間切りと思っていたけれど、なんと23時間が切れそうだったことがわかり、高取山からのくだりとロードを全力でぶっ飛ばす。(といってもログを見たらキロ6分くらいだったので流石に疲れていたみたい)
ゴールに向けて服装を整えながら走り、栄光のゴール・・・
同じ頃にゴールした選手と労い、語り合いながら嬉しさを噛み締めました・・・。
振り返って
- タイム:22時間43分46秒
- 順位:6位(出走113人 完走20人 完走率18%) ※100km部門の結果
実績 | 予定 | |
---|---|---|
1周目 | 6時間31分(+12分 大エイド) | 6時間45分(+10分 大エイド) |
2周目 | 7時間34分(+27分 大エイド) | 8時間3分(+15分 大エイド) |
3周目 | 7時間59分 | 8時間45分 |
合計 | 22時間43分 | 23時間58分 |
この完走率の中でよくゴールできたもんだと我ながら思います。
昨年悔しい思いをしてその借りを返したい!という思いの強さが何よりの原動力でした。
この思いがなかったら、途中で集中力が切れて眠気に襲われたかもしれないし、3周目の雪山に入るのに躊躇してしまった可能性もあります。
2023年のトレランライフの1番に掲げていた目標を1月早々に達成することができました。
完走してから2ヶ月(23年3月)経った今、次の目標は立てられていないけれど、まだまだ自分の限界は先にあるなと思わせてくれた石舞台100
主催者・ボランティア・一緒に走ったランナーの皆さん
ありがとう!!
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